薬剤師コラム

薬剤師のSです

薬剤師のSです。

2021年の夏は北海道らしくない、異常な暑さが続きましたが
皆様は体調を崩されることはありませんでしたか?
水分補給は大事ですが、冷たいものばかり摂ったりしませんでしたか?
これからは秋の時季、また長い冬に向かって徐々に朝晩の気温が
落ちてくる時季になってまいります。

漢方の世界で用いられる五行説では、秋は「金(こん/きん/ごん)」に属します。
そして「金」に属する五臓は「肺」です。
働きはいわゆる”肺臓”に近く、外部と接して外からのエネルギーを取り込む働きがあります。
肺と関係を結びつけやすい鼻も「金」に属しますが、実は大腸や皮膚・体毛もこの「金」に属します。
このグループは、外部に接する一番浅い場所のものが属することが多いです。
皮膚や体毛は体の表面にあるのでイメージしやすいです。
鼻も空気の入り口で、その空気は肺に入るので外部と接するイメージが湧きやすいかと思います。
大腸は一番深いところに感じますが、逆に肛門から考えると一番外側に近い場所あるため
肺と表裏一体で考えることが多いです。

秋に悪化しやすい症状の代表格が「喘息・慢性気管支炎」です。
これは空気が乾燥してくることに加えて、寒暖差が大きくなったり、
アレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)が飛びやすいなどの理由が挙げられます。
漢方の世界でもやはり「燥邪」という考え方があり、秋の冷たく乾燥した空気を取り込むことで
肺や鼻の粘膜を傷つけ、過敏にさせて様々な症状を引き起こすと考えられています。
しかしながら、マスクを装着することが一般的となった昨今では、しっかりと保湿・保温は
自ずから出来ているのかもしれません。

また、「皮膚炎」もこの時期に悪化しやすい症状の一つです。
皮膚炎の中でも特に乾燥による肌トラブルが多い時期です。
保湿剤でしっかりとケアすることはもちろんですが、夏に増えやすいダニのフンや死骸によって
アレルギー反応や、皮膚炎を起こすこともよく知られています。
喘息や鼻炎の悪化にもつながりますので、特にアレルギーをお持ちの方はハウスダストの除去にも
充分注意していただくといいかと思います。

秋は「金」、そして「金」には大腸、よって「便秘」もこの時期に悪化することが多いです。
夏から秋にかけて徐々に気温が低下してくることで、体が冷え、血流が悪くなり、
大腸そのものの動きが鈍くなることで便秘を引き起こすことが一因として挙げられます。
また、精神的な不安定さによってストレスを感じ、それによって便秘を起こすこともあります。
秋の味覚と言われるサツマイモ。食物繊維が豊富で便通が良くなると言われていますが、
デンプン質が多く、腸内ガスを発生させて便秘を引き起こす可能性もあります。
キノコ類、バナナ、黒ゴマ、こんにゃく・・・便秘を解消すると言われている食品は数多くあります。
自分の体質に合っていないものはあまり効き目が感じられないこともあるでしょうが、
安易に下剤に頼らずに、まずは食事内容から見直してみてはいかがでしょうか?

ところで、秋と聞くと何となく物悲しい気持ちになることはありませんか?
紅葉はとても綺麗で気分が高揚しますが、枯れ葉が落ちると何だが物寂しい気分になります。
つまり秋は精神的に不安定になりやすい時期と言えるでしょう。
春に芽吹いた木々や草花が大きく成長してエネルギーが盛んになるのが夏、
そしてそのエネルギーによって実をつけ、種を作り、力を蓄えて発揮しようとするのが
この秋という季節であり、何かを始めようとする時期ではなく、これからの時期に備え、
蓄え、整理するための時期とされています。
天高く馬肥ゆる秋、食べ過ぎは禁物ですがしっかりと栄養を摂り、
気分を穏やかに過ごし、迫り来る冬将軍に負けない体をつくりましょう。

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